
当事者・関係者・傍観者
何事につけ私たちは当事者にも関係者にも傍観者にもなり得ます。事件や事故に巻き込まれて否応なく当事者や関係者にならざるを得ない時もありますし、自らの興味においてある事柄に気持ちも行動ものめり込んでいくという態度をとることも、時としてあるはずです。
<愛・地球博>との関わりにも同じことが言えるでしょう。
21世紀最初の万国博覧会が今、私の地元愛知県で開催されています。ごく個人的なことを書けば、若い頃に講師として通った愛知県立芸術大学のすぐ近く、長久手(ながくて)青少年公園を主会場として、それは開かれています。
その意味では、私はとても傍観者ではいられません。会場前を貫く長久手グリーンロード、休日には多くの県民がスポーツに汗を流した青少年公園。ああ、そう言えば私の通った高校の体育大会もまた、この公園の赤茶けたグラウンドが主会場でした。地元の人には見慣れたあの公園が、今は万博の会場なのです。
ですから私は、まず今回の万博の立地という点において傍観者ではあり得ません。そしてさらに、会場内の一部を私の会社が施工したという意味で当事者でもありますし、催事企画の一部にタッチしている点では関係者なのです。
本稿では、これからしばらく私なりの視点で当事者・関係者としてこの万博をレポートします。その目的は、お読みになる皆さんにも<愛・地球博>開催の意味を当事者・関係者として感じ取り、共有していただきたいからです。
ご存知ですか?<愛・地球博>
のっけから「愛・地球博のことを知りたければ、協会公式ホームページをご覧下さい」と言っておきます。(http://www.expo2005.or.jp/jp/)とてもていねいに作り込んでありますから、大概の情報はここから入手できるはずです。
そのコンテンツを確認してから本稿を書き始めた私は、<愛・地球博>の概要をなぞることはきれいさっぱりやめることにしました。
でも、このホームページの中身は「お客様」としての私たちに発信された、いわば晴れがましい情報の集積なのです。結局のところ、入場者には<愛・地球博>の傍観者としての立場しか、与えられていないのではないでしょうか。
この良くできたホームページを眺めていると、万博とは決して失敗の許されない国威をかけたプロジェクトであるという緊迫感すら、どことなく漂っている気がするのです。でも失敗しないプロジェクトなんて楽しいかな、学ぶべき点が生れるのかな、と思いませんか。そしてなにより愛着が感じられますか、皆さん?
この万博が私のこんなに近くで開かれているのに、どこか遠くの絵空事のように感じるのは、お祭りの場という非日常空間の創出としては大成功と言えるでしょう。一方、私たちが地球や地域環境の直面する諸問題を我が事として感じ、行動する契機の万博としては、その成果に現時点では留保をつけなければならないと、私は思います。
グローバル・ループを渡る風
さて、協会公式ホームページを彩るコンテンツが万博の「光」とするならば、私は当事者・関係者としての自分が感じ、体験した<愛・地球博>を語ることにします。たとえ内容の一部がネガティブなものであったとしても、その「影」があってこそ、この万博に血が通い、リアリティが生れるものと信じています。
この季節、<愛・地球博>長久手会場を巡る全長2.6Km、幅約21mの空中回廊<グローバル・ループ>に一人たたずむと、会場を吹き抜ける風が肌に心地良いです。結局人間は自然に生かされているのだと、にぎやかな人並みや外国館の入るグローバル・コモンが視界に入りながらも、そう思えてしまう静かな力が、風にはあります。
その風の意味や行方を探ることも、この連載の一つの目的だと、私は思っているのです。
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長久手会場を巡る人口大地「グローバル・ |
これは「グローバル・ループ」を下から見たところ。基礎も工夫してあって、既存地盤への負荷が少ない構造です。 |